「図書館=つまらないを、おもしろい・楽しいへ」

アークどこでも本読み隊
代表・堀内佳美さんへインタビュー

 先にも紹介した「アークどこでも本読み隊」の代表を務める堀内佳美さんは、生まれた頃から目がほとんど見えず、17歳で完全に視力を失いました。

 タイを初めて訪れたのは大学1年生の時のワークショップ。そしてタイに留学した大学時代が転機だったと話す堀内さんが、アークどこでも本読み隊(以下、アーク)を通して伝えたい想いとは。

※アークの活動詳細は、こちら

 

「図書館=つまらないを、おもしろい・楽しいへ」

「やりたいことを周りに話すと、手を貸してくれる人がいる。
それは本当に恵まれていることだと思います」

 

「今の私の土台になっている本が、全盲のドイツ人女性が書いた『我が道はチベットに通ず』。チベット高原に暮らす盲目の人たちのためにチベット語の点字を発明し、さまざまなサポートを行う著者に強い感銘を受けました。それこそ雲の上の存在でした。そんな彼女にたまたま出逢ったのが大学の時に参加したワークショップです。偶然にも直接お話をする機会があり、それがきっかけで彼女が設立するインドの社会起業家研究機関に入学が決定。その時に考えたのが、今のアークの原型となる『移動図書館』でした。その本を読まなかったら、今アークの活動をしているか分からないと言えるほど、大きなきっかけとなった本ですね。それ以外にも、子どもの頃からたくさんの本を読んで来て、影響を与えられたことがありますし、それ以上に自分の世界が広がっていくのを心から実感しました。自分の体験を通して得たことなので、自信をもって周りの人たちにも本のすばらしさを伝えていけると思っています」

 現在、アークの活動は丸6年。さまざまな事業にチャレンジしてきて、今はその地固めの時期と堀内さんは言います。「私たちの活動を通して、『図書館=勉強する場所(つまらない)』というイメージを、『楽しい!おもしろい!』というように変えていくのが、私たちの活動の狙いなんです。イメージが変わることで、たくさんの本との出合い、世界の広がりへとつながっていくと信じています。『失敗したらどうしよう』と思うことも一瞬あるけれど、自分がやりたいことだから、やるしかないと常に思っています。他の人からいい加減、落ち着きなさいと言われるんですけど、それは全然考えたことはないですね(笑)」。

 こうして堀内さんは今日も各地を訪れ、目の前の小さな世界から、本を通して広がる無限の世界へ、子どもたちを連れて行きます。

 

「図書館=つまらないを、おもしろい・楽しいへ」

 

■アークどこでも本読み隊
083-542-7283(堀内佳美)
japanese@alwaysreadingcaravan.org
blog.canpan.info/arc-yoshimi

 

(取材・文:山形美郷)

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