映画を通して伝える
日本のリアリティー
設立当時から「日本映画祭」を開催している「独立行政法人 国際交流基金バンコク日本文化センター」。日本映画を通して伝えたい想いを、同センター・次長である鈴木さんに伺いました。
昨年の日本映画祭での1枚。バンコクとチェンマイ合わせて3,000人以上が訪れた/提供:国際交流基金
独立行政法人 国際交流基金
バンコク日本文化センター
次長・鈴木 一絵さん
映画を始め、さまざまなイベントを通して日本文化をタイの人たちへ伝えている。
昨年のテーマが「LIFE」、そして今年は「Shapes of Love」。日本映画をタイで上映する「日本映画祭」は毎年テーマを変え、40年以上開催されています。映画は単なる映像に留まらず、文化や言語を飛び越える。
その可能性にいち早く目をつけた国際交流基金バンコク日本文化センターは、さまざまな視点からテーマを捉えた作品を紹介しています。始めはバンコクだけの開催でしたが、4年前からチェンマイ、今年はさらにコーンケーンとスラタニーも加わり、その熱は確実にタイ国内へ広がっています。
「映画はまさにその国の文化や時代を反映してつくられていくもので、1本のほんの数時間には、さまざまな感情、暮らし、食べ物、音楽、風景など、多くのリアリティが詰まっていると思います。日本のいい面・悪い面問わず、伝える力が映画にはありますので、この映画祭を通して、タイの皆様に日本への共感を持っていただき、そこからさらに深い交流が生まれることを目指しています。今年は『愛のカタチ』をテーマに上映しますので、心ときめかせていただければうれしいです」
また、タイで日本映画祭を開催する一方で、国際交流基金が東京国際映画祭と連携して2 0 1 4 年に創設した「CROSSCUT ASIA」部門でのタイ映画特集への協力など日本国内でのタイ映画紹介にも関わっています。そんな活動の一端を担う鈴木さんは、今後も日本を身近に感じてもらえるようにアプローチしていきたいと言い、タイの人たちにとって日本映画が選択肢のひとつになるのも、そう遠くはないはずです。
今年の映画祭で上演される『百瀬、こっちを向いて』。他、全9作品が上映予定
©2014 Momose Film Partners
(取材・文:山形美郷)