家庭菜園のカリスマに聞きました。
「あなたのGreen Lifeって?」
(profile )
Ms.Sirikul Suetorchart (Pom)
20種類以上の野菜、果物、タイハーブを自宅で育てる家庭菜園のカリスマ的存在。「食べられるもの以外は育てない」と言い、自宅でワークショップも主宰。
※ポムさんのワークショップ他、植物イベント情報は
www.facebook.com/thaicityfarm
門を開けるとひょっこり現れたその人は、家庭菜園を行う人たちのカリスマ的存在でもあり、無邪気な笑顔を持ったポムさん。家の周りはもちろん、お向かいさんのスペースを拝借して少しずつ増えていった野菜たちを一つひとつ丁寧に説明しながら、話してくれました。
「今朝はそこのクレソンを摘んで、サンドイッチにして食べたのよ」
サラダやサンドウィッチなど万能選手なクレソンは欠かさず育てているそう
野菜に囲まれたポムさんの家
「この花の中には種があるのよ」と見せてくれました
タイ料理には欠かせないプリック(唐辛子)も
ワイルドベリーも実をつけていました
食べることも、自分で料理を作るのも大好き。口に入れるものはオーガニックなものがいいけれど、値段が張るのは否めない。それなら自分で作っちゃえ、と家庭菜園の世界に飛び込んだのが4年ほど前。そこからは、さまざまなワークショップに参加。知識をつけ、自分でワークショップをやってみないかと「Thai Cityfarmers」から誘いを受けたのが1年前。すぐに人気に火が付き、今では本を出すまでに。
ポムさん著書の『Let’s Do Some Gardening』
トンローの「ROOT GARDEN」のイベントに呼ばれることも。
実は編集部もここで初めてポムさんにお会いしました
「初めて自分で作った野菜を見た時は、食べたくないと思ったわ。だって、かわいすぎて」
「野菜を育てるようになって自分でワークショップを開き、みんなの役に立てていると実感できるようになりました。今までは家のことだけだったから。家庭菜園をきっかけに、周りの人との交流がぐんと増えました。たくさん採れた野菜をご近所さんや友だちに配ったり、ときには種もおすそ分けしたり。育て方について聞かれることもあるし、大人向けのワークショップはもちろん、小学校に教えに行くこともあるんですよ。世代を超えた幅広いお付き合いができるのも、野菜を育て始めたおかげですね」
お米の苗もこの通り。これを持って近所の小学校へ教えに行くことも
ポムさんが一番最初に育てたのは、小さな子どもでも作れるもやし。
「失敗するといやになっちゃうから」と、日々成長する植物を見守る楽しさ、うれしさ、愛おしさを感じるには、簡単なものからステップアップするのがおすすめなんだそう。
自分でコンポスト(堆肥)を作ります
今ではミミズを育てるまでに
1週間前後で食べごろのスプラウト
そんなポムさんの話を聞いていて印象的だったのは、心の底から明るいこと。一見、難しそうなことも「難しいことなんてないわよ。仕事にしているわけじゃないから、義務なんてないし、楽しみながらやるだけ」と軽やかに。ときに、大切に育てた野菜が虫に食べられても「切れば大丈夫だし、カタツムリが出現したときは、夜や薄暗い明け方に懐中電灯を持って捕まえにいくの。捕まえたら、池のコイにあげちゃうのよ」とキッパリ。
野菜や植物を育てたいと思いながらも足踏みしている人たちの背中を、ぽんと押してくれます。
「ここが私のオフィスよ♪」と茶目っ気たっぷりに話すポムさん
ポムさんの作業場は、ポムさんが毎日そこで過ごす時間と一緒に変化し、趣きを増しているような、とてもすてきな空間でした。
きのこもここ1年ほどで育て始めたそう
使い込まれた作業場の一角。
この帽子をかぶって外での作業に励みます
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実は、作業場だけでなくポムさんのご自宅全体が緑に包まれた、とても気持ちのいい空間なんです。
ここでほんの少しだけ、ご紹介します。
2階へ上がる階段の横にどっしりと佇む木はツルがすだれのようで涼しげ
風が吹くと、カタカタと木がぶつかり合うやさしい音が聞こえてきます
2階のテラススペースにも植物が並びます
ベンチとテーブルが置かれた休憩スペースも
見上げると鳥の家を発見(実際に鳥は住んではいないそう)
摘みたてのミントにお湯をかけたお茶をいただきました。
香りはもちろん、口に入れるとスーッとした爽快感が広がります。なんて贅沢
編集部総出で見学をさせていただいた記念に一枚
ポムさん、ありがとうございました!
◆植物担当Mugg(モッグ)より
ポムさんと話すと、彼女への憧れの気持ちが増していきます。それは、自分自身もオフィスで植物を育てるようになって、その難しさに気づいたから。植物一つひとつの細かい成長・変化に気づかないとうまくいかないと感じました。工夫をして、ご近所さんや友だちにおすそ分けたりできるまでに育った野菜たちには、ポムさんの努力の欠片が見られました。それに、ポムさんは自分の行動に誇りを持っていて、とてもハッピーなオーラを持っていました。こんなにうらやましい生活はあるでしょうか。