The Jam Factoryから見る リバーサイドのこれから

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誰からも忘れられていた、ただの古びた倉庫だったこの場所が生まれ変わったのは、今から2年前。ファニチャーショップ、カフェ、本屋、ギャラリー、レストランが併設される「The Jam Factory」を創り出した人物・Duangさんに、この場所との出会い、そしてリバーサイドのこれからについて話を聞きました。

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 手をかけすぎるのではなく、そのもの自体を活かす。

 シンプルな考え方の裏には、途方もない反芻と反省を繰り返してきたのでしょう。そうして出来上がった建物や家具は、多くの人の目を惹き、そこに居心地の良さと潔さを感じさせてくれます。

 歴史を重ねて来たアンティークなものに昔から惹かれていたというDuangさん。もともと学生時代から倉庫を回り、友だちが面白そうな倉庫を見つけると連絡をしてきてくれたのだそう。

 現The Jam Factoryの主要メンバーが初めてこの場所を訪れた時の感想は一様に、「こんなところで大丈夫か……」と大なり小なりの不安がよぎったと話していますが、実は彼自身も第一印象は「ありえない場所だ」と思ったと言います。

「今あるレストランのところは池だったし(そこには何十年と生き続けているような大きな魚がいた)、ギャラリーの場所は屋根が外れていて、壁も汚かったし……とにかくボロボロだった。けれど、逆にチャンスだと思ったんだ。ここをどうにかしたい、と。僕には不安はなかったんだ。だからみんな僕に付いてきてくれたんじゃないかな。最高の出会いだったよ」

 

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骨組みの柱は補強して元の形を活かしている

 

 

「出会いのすべては、ダンスみたいなものだろ?
シンプルに、その人と踊りたいかどうか」

「この場所を選んだのは……そのときの衝動かな。
僕の中では人との出会いも、ものとの出会いも、すべての出会いはダンスみたいなものなんだ。この人と踊りたいかどうか。魅力的な人とはもちろん誰だって踊ってみたいだろ? そうしたら、勇気を出して誘ってみる。ダンスなんて型があってないようなものだから、なんだって自由にできる。決まりはないし、正解もない。踊っているときが一番楽しいし、その前でも後でもない。なんだって、“そのとき”が一番大事なんだ」
 やりながら、手を動かしながら感じたもの、経験したものを自分の中で温め、そして大きく外へ吐き出していきます。

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 今後のリバーサイドがどのように変化していくか、Duangさんにその考えを聞いてみると、「そんなのは誰にもわからないよ(笑)」と軽やかに返されました。
「ただ、みんなが期待するようになっていくと思うんだ。もちろん僕自信も期待している。だって今のところ、このエリアはその魅力の10%くらいしか活かし切れていないと思うんだ。もっと楽しいエリアになるよ。いま考えているのは、リバーサイドエリアのギャラリーと協力して、何かイベントやプロモーションができないか。このエリアに来た人が(たとえそのアーティストに興味がない人でも)刺激を受けるような、そんな場所を創っていきたい」

 少し前まではただの空き地でしかなかった場所に「The Jam Factory」ができ、今では年齢を問わない幅広いファンが増え、いちブランドとして確立されつつあります。これからここを母体に、いろいろなアイディアを具現化していきたいと話すDuangさん。昨年末に発行したフリーペーパーを筆頭に、ギャラリーでの才能あふれるアーティストたちとのコラボレーションや、ファッションブランドの立ち上げと、活動の場をどんどん広げていきます。

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昨年12月に創刊したフリーペーパー「THE JAM FACTORY」(月刊)

 

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週末にはイベントも開催。写真はタイの新鋭バンド「STOONDIO」のライブ時

 

 取っ付きにくいような印象を初見では受けるかもしれません。けれど口を開けば、真摯に言葉を紡いでくれる。ときおり見せる身振り手振り、そして満面の笑み。「その時、その場所で自分が感じたもの」に神経を尖らせ、耳を傾けるその姿勢は、リバーサイドに、タイ全体に、これからも影響を与え続けるでしょう。 

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「どう? 想像していると楽しくなってくるだろう?」

 

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Duangさんが大好きな中庭での一枚

 

◆プロフィール
Mr. Duangrit Bunnag
エンポリアムのTCDCやクラビにあるコスタランタ・ブティックホテルなどをデザイン。タイを代表する建築家・デザイナーであり、Duangrit Bunnag.co.,ltd(DBALP)オーナー

◆The Jam Factory
41/1-5 The Jam Factory, Charoennakorn Rd.
02-861-0950
www.facebook.com/TheJamFactoryBangkok

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