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My Life - カフェ経営者 荒古佳絵さん / 朋美さん -


原点は一冊の本 「迷いはなかった」

Serendib Tea Room 荒古佳絵さん/朋美さんチョコバナナパンケーキ 160B++、ティーポット 180B++

閉店間際、お客さんが帰った静かな店内。キッチンからは、カシャカシャと何かをかき混ぜる音が聞こえる。明日の仕込みが始まった。毎日変わらずオープンするには、この前日の準備が重要になる……

姉妹で経営するこちらのカフェは、姉の佳絵さんがインテリアデザインや接客、妹の朋美さんがパティシエの腕を活かして料理全般を担当。店名の「Serendib(セレンディブ)」は、世界一の紅茶大国・スリランカを意味する旧アラブ語であり、「思わぬものを偶然に発見する才能」を表す「serendipity」の意味が込められています。

もともと二人は大の紅茶好き。そのきっかけは、朋美さんが高校時代に借りて来た一冊の紅茶の本でした。夏休みの間じゅう手元に置き、二人で繰り返し眺めていました。紅茶文化の先駆けとなったイギリスに思いを馳せ、二人でいろいろな茶葉を買って来ては、『ティーパーティー』と称して自宅で飲んでいた10代のころ。お互いそれぞれの道を歩みながら時は経ち、2012年12月。バンコクの地に二人は揃い、カフェのオープンを決めました。お母さんとお兄さん、大切な家族を同時期に失ったことがきっかけで。

「いつかは母親をバンコクに呼んでお店を開くという目標はあったんです。それが少し早まっただけ」と、朋美さんは落ち着いた口調で話します。

Serendib Tea Room 荒古佳絵さん/朋美さん高い天井を持つ一軒家。二階から見た店内の様子

そこからは、一気に物件探しがスタート。「実は今のお店と同じソイにある別の物件に、先に契約を決めていたんです。けれどひと足先に他のお客さんが契約しちゃって……どうしても諦めきれず本当に工事をしているのか、不審者のように何度か偵察に来ていました(笑)」

そんな時、朋美さんが何もない路地に呼ばれるようにふらふらと入っていき、そこで見つけたのが今のお店です。2013年7月、ついにSerendibがオープンしました。

異国の地に、姉妹二人でお店を出す。普通なら迷いや不安が生じてもいいはずの状況なのに、佳絵さんはハッキリと言います。「うん、不思議と迷いはなかったな」と。

信頼できる茶葉を、最高のタイミングで

Serendib Tea Room 荒古佳絵さん/朋美さん料理担当の妹・朋美さん

お店で出す茶葉は、すべて自分たちでスリランカに足を運び、直接オーナーに会って交渉したもの。ときには、搭乗ギリギリの30キロまで茶葉を抱えて帰ってくることもあるそう。

「うちは大手ではないので、取り合ってくれる工場は少ないんです。そんな中でも、親身になって私たちの話に耳を傾け、工場の中を見学させてくれ、茶葉が出荷されるまでの流れを丁寧に説明してくれたところにお願いしています。自分たちの目で見て、しっかり信頼できるからこそ、お客さんに自信を持って出せるので」

今年の4月からは、スリランカに滞在する茶葉のスペシャリスト(日本人)おすすめのメニューが新たにラインナップ。自分たちで買い付けをしているものに加えて、様々な茶園の茶葉が顔を揃えるようになりました。

Serendib Tea Room 荒古佳絵さん/朋美さんインテリアデザイン・接客担当の姉・佳絵さん

こだわりは、常に高いクォリティを保って紅茶を味わってもらうこと。 「通常のお店では、ティーポットに茶葉を入れたまま出して、無くなったらお湯を注ぎ足してもう一杯楽しむというスタイルが多いのですが、そうすると茶葉がお湯に浸かりっぱなしなので、渋みが増したり濃くなったりして味が不安定になることが多いんです。それをなくすために、茶葉の風味が一番活きるタイミングを計り、茶葉を取り出して提供しているんです」

朋美さんは今年の4月に3日間、紅茶の専門家が集うスリランカで、セミナーを受けて来ました。佳絵さんも時間を見つけて受けたいと言い、ティールームとしてSerendibは日々進化しています。 「みんなにはケーキ屋さんと思われていることが多いけど、ちゃんと紅茶のお店だと知ってもらえるように、もっともっと紅茶のことを勉強していきたいし、紅茶の販売にも力を入れていきたいです」。

Serendib Tea Room
120/24 soi 23 Sukhumvit Rd., Klongtoey-nua
02-115-2144
毎日11:00〜19:00
www.facebook.com/Serendibtearoom
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